開発ストーリー2度の大きな危機を乗り越え
今に至るまでの開発ストーリーをお伝えします。

※文中の「シグマ」「シグマLISカンパニー」とは旧社名です

ヒントは現場にあった

当社社長の下中(現シグマ会長)は、時々工場現場を歩くのが習慣になっていた。ある日「作る工程は自動化が進んで人がいなくなっているのに、検査工程だけは相変わらず人がずらーと並んで検査している。」と、ふと気づいた。「ここを何とかしないと工場の自動化は進まない。」という思いと同時に「この状況はシグマだけではないはずだ」とも考え、工場の自動化への大きな課題をどう解決すべきか考え始めていた。

そんな矢先、下中は産業技術研究所にてANALYZERの基となる要素技術に出会う。良い検査装置を作れば自社の武器にもなるし上手く行けば拡販できるのでは…と考えた。

産業技術研究所との共同開発がスタートも開発継続の危機

そして2000年に産業技術研究所との共同開発がスタートするも、翌2001年に通産省工業技術院傘下の研究所は独立行政法人産業技術総合研究所へ大規模な機構改革が実施され、2003年に中国センターは、バイオマスの研究所に重点化する方針が決定し、ものづくり関連の研究者は他センターにすべて異動となり研究開発の継続の危機に立たされた。

しかし、レーザー傷検査装置の将来性を確信していた下中は開発継続に強い意思を持ち続け、研究資金提供の申し出を行い何とかこの危機を乗り越えた。危機を乗り越えた後も試行錯誤を繰り返し、ようやくお客さまに見せられる試作品が出来たのは2007年のことだった。気づけば開発から7年の月日が流れていた。

お客さまの評価に愕然とする

ようやく完成した試作品を携え、東京で開催された展示会に出展した際、東海エリアの大手自動車メーカーさまの目に留まった。まずは、検証用装置の注文を頂き1台目を納入させて頂いた。その装置を使い、お客さまにて色々な検証を実施し量産ラインで活用できるかを評価頂いた。

お客さまの答えは「NO」だった。

答えに愕然としたCOOの江崎はお客さまに理由を聞いた。
「技術的には面白い。但し、検査速度が遅すぎて量産ラインでは使えない。」との答えが返ってきた。

簡単に引き下がれない江崎はもう一度聞いた。
「2倍の速さにすれば使えますか?」

質問に対する答えは「最低10倍以上」だった…。
「時間を貰えれば、何とかします。」と強がった江崎だったが、その時は何の算段も出来ていなかった。

スピードとの戦い

それからスピードとの戦いが始まった。まずは、従来のモータと軸をベルトで繋ぎ回転させる方式で高速化を進めた。第一により高速なモータを海外から調達し、更にプーリーでその回転を倍速し5倍の速度まで持って行った。しかし、無情にも先端は激しく振れていた。

難しい顔でPCを覗き込んでいるシグマLISカンパニーの社員

振れを見ながら、この延長線上でいくら筐体などの剛性/精度を高めてもお客さまの望む10倍の速度で安定的に24時間365日の使用に耐える装置は難しいと判断した。

そこで、考えたのが回転する軸を直接回す【中空モータ仕様】である。中空モータを製造しているメーカーを色々探し共同で作り上げたのが、現行ANALYZERのスピンドルモータである。

これで超高速で安定的に回転させる目途がついた。しかし、その装置でデータを取ってみると検査開始部分と終了部分で画像に歪みが出ている事に気付いた。回転が遅い時には気にもならないが、高速になったことで検査移動時の加速時と減速時の影響が出ていたのである。また、データの送受信も従来と比較し何倍もデリケートになっていた。

高速化が私たちに新たな課題を次々と投げかけてきた。開発は難航を極め、結果、お客さまの希望スケジュールに間に合わず、その案件は失注となった。

2度目の危機

そして、あのリーマンショックが発生した。その頃に頂いていた案件は、ことごとく延期&中止となったことから、傷検査事業を撤退するかどうかの重大な危機に直面した。

そんな危機の中でも江崎は行動し続けた。僅かであったが装置を購入した企業や、機械加工関係企業へ足繁く通い潜在的な需要があるかどうかの調査を徹底的に行い事業の将来性を見極めようとしたのだ。

そこで多くの意見をいただき大きな潜在需要があること、また検査時間を短縮する課題などを把握し、下中に事業の継続とこのリーマンショックの不況の間に抜本的な改良を行うことを提言した。幸いにも装置の改良を進める時間はあった。ただ、改良開発する為の予算はどこにも無かった。そんな状況を乗り越えることができたのは、公的支援(補助金)制度があったからだ。このお陰で2年間売上無しでも開発を進める事が何とか出来た。

ANALYZER3のリリース

そして、2010年に満を持して発表したのが「ANALYZER3」である。2年遅れで、失注したお客さまが要望されていたスペックを満たす製品を完成させることが出来た。その後、少しづつ色々なお客さまに使って頂けるようになり、2014年3月には経済産業省の「グローバルニッチトップ100」にも内径検査分野で選んでいただいた。

今では、世界11か国で国内外の自動車メーカーさま/部品メーカーさまに活用して頂けるようになり、一度は見送りになったお客さまにも現在はご契約いただき使ってもらうことが出来ている。

穴分野のトップランナーとしての今後

穴分野のトップランナーとして、お客さまからご要望頂いたレーザ計測分野/加工分野についても現在開発を進めています。また、装置だけでなくアプリケーション分野についてもAIやデータ分析を取込んだ新たなソフトを開発し、お客さまの更なるご要望に応えていきます。

穴の事なら「ANALYZER」。これからもシグマLISカンパニーはお客さまの「あったらいいな」にお応えしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

笑顔で談笑するシグマLISカンパニーの社員

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