JIS規格制定ストーリーJIS規格を作成するきっかけから
制定までの道のりをお伝えします。

※文中の「シグマ」「シグマLISカンパニー」とは旧社名です

加工穴内径面自動検査装置の標準試験片

きっかけJIS規格を作成しようと考えた原点

大手自動車メーカーさまにANALYZERを提案した際に決まって聞かれたこと。それは「確からしさを何で保証しているの?」だった。その際「シグマには検証や出荷検査時に使う独自のマスターピースがありそれで保証します。」と説明していたが、各社からは「シグマさん独自ではなく、何か公的なモノはないの?例えば、JIS規格的なモノとか?」と1社だけでなく提案した全てのお客さまに同じ事を言われ、興味を持ちつつも導入するための安心材料を求めていることが分かった。何か統一された標準規格があれば、お客さまもシグマのような検査装置メーカーさまも安心して使用出来るだけでなく、各社で独自のマスターピースを作成するロスも無くなるのではと思ったのが原点となった。

チャンス到来トップスタンダード支援制度との出会い

その後、経産省のトップスタンダード支援制度セミナーを受講した際に当局室長へ相談し、翌2015年7月にJIS規格化の検討可能とのオファーが来た。検討資料などの準備を整え、9月に事務局のひろしま産振構さまと一緒に日本規格協会さまへ赴き、協会の担当者と面談を行った。初めてJIS規格の総本山であるビルに入ったときの緊張感を今でも覚えている。

規格制定に関する苦労その1原案作成委員会立上げ

日本規格協会さまでの面談で、初めはシグマの申請事案に対し疑問を持たれている様子だった。しかし経緯や実状を議論していくなかで、まずは「標準試験片」の必要性をご理解いただき申請の土俵に乗せてもらえることになった。そこからは、日本規格協会さまと非破壊検査協会など関係団体への説明に赴いたり、JISC(日本産業標準調査会)の承認などを経て、JIS規格づくりのワーキンググループである「加工穴内径面自動検査装置 標準試験片の原案作成委員会」を2016年10月にようやく立ち上げることになったが、ここまで来たら途中棄権という選択肢はなかった。「国費を使って新たなJIS規格を創るのだからやり切るしか道はない」と協会からも釘を刺されていたのでなおさらだった。

まず、最初に行う原案作成委員会のメンバー集めには苦労した。構成メンバーは、使用者委員となるエンドユーザー、生産者委員となる同業の競合他社、中立者委員となるその道の研究者、この方々をシグマ自身でアレンジしなければならなかったからだ。これまで培ったコネクションをフル活用した。

規格制定に関する苦労その2JIS原案作成

ここから、ようやく原案作成スタートした。まずは「たたかれ台」となる素案を作り、毎月のように東京三田にある日本規格協会さまにメンバーが集まり、議論に議論を重ねてJIS原案が完成した。約1年を経て、当初の素案など跡形もないほど精練化された状態となった。各メンバーの様々な思いや考え方をすり合わせた集大成がJIS原案である。

次に行うのは、完成した原案に沿って実際に標準試験片が製作できるのか?実証試験のスタートである。シグマで標準試験片を製作し、生産者委員に持ち回りで実証評価を実施して全てのレポートを統括するのは、なかなか骨が折れる作業だった。

JIS規格制定に向けて話し合うANALYZER株式会社のスタッフ

規格制定に関する苦労その3JIS原案の解説作成と原案審査

実証評価を終え、その結果を原案へフィードバックし修正を重ねた後で、ここからは作成した原案の中身について説明する解説案の作成となる。解説案と並行して進行するのが、保安技術専門委員会による原案審査である。

審査は専門委員である関係団体や協会の重鎮方が厳密にチェックいただくので、指摘の数は300件を超えた。この一問一答は全指摘項目が双方で合意が得られるまで続く。JIS原案作成を山登りに例えるなら、9合目からの頂上アタック、といったところだ。

これから目指す先リーディングカンパニーとしての今後

こうして足掛け3年強となる2018年8月20日、初の穴検査のJIS規格となる「JIS Z2324-1 加工穴内径面自動検査装置 第1部:標準試験片」が公示された。こうしてシグマLISカンパニーは、西日本で初のJIS規格を創った企業となった。

ここから更に2年強、同原案作成委員会では第1部の標準試験片を用いた検査装置の「性能試験方法」のJIS原案として第2部から第4部までを引き続き作成し、こちらは2020年11月20日に「JIS Z2324-2 加工穴内径面自動検査装置 第2部:レーザ式検査装置の性能試験方法」として公示された。ちなみに第3部はカメラ式、第4部は渦流式である。穴検査に特化したJIS規格4つを手掛け、紆余曲折あったが無事完遂した。

今後は、自社が手掛けたJIS規格の標準試験片と性能試験方法の啓蒙を通して、お客さまがより効果的にANALYZERの自動検査を活用いただけるよう取り組んで行くと共に、モノづくり携われる皆さまの発展に少しでも貢献して行ければと思っています。

JIS規格の書類

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