全数検査、任せるなら人?それとも検査装置?
部品の製造現場で欠かせない「全数検査」。皆さんは、この検査、誰に任せるのがベストだと思いますか?
人が目で確認するのか、それとも検査装置に任せるのか―。
人がやる全数検査の強み
人による検査は、柔軟性が高いのが魅力です。想定外の不具合や微妙な手触りの違いなど、経験豊富な検査員なら機械では拾えない異常も見つけられます。また、設備投資が少なく始められる点もメリットです。
ただし、課題もあります。長時間の検査では集中力が切れ、ポカミスが発生しやすくなります。さらに、検査結果の精度や繰り返し精度は人によってバラツキが出るため、一定の品質を保つには経験や教育が不可欠です。また、熟練者の技術を次世代に承継するのも簡単ではありません。
検査装置による全数検査の強み
一方、検査装置による全数検査は、精度と繰り返し精度に優れています。センサーやカメラを駆使することで、人では見逃しがちな微細な欠陥も安定して検出可能です。長時間の稼働でもポカミスはほとんどなく、データとして残るのでトレーサビリティも確保できます。
デメリットとしては、初期投資が必要であることや、検査条件の変更には装置の設定やプログラム修正が必要なことです。しかし、近年はAIや自動化技術の進化により、柔軟性の向上も進んでいます。
人の経験を活かしつつ、装置で精度を確保
もちろん、人の目が完全に不要になるわけではありません。微妙な感覚や突発的な問題には、まだまだ人の経験が頼りです。しかし、品質の均一化や生産効率の観点から見ると、全数検査は検査装置に任せるのが現実的です。コスト削減、精度向上、データ管理、そして技術承継の観点でも、装置化は合理的な選択と言えます。今後は「人と装置の最適な役割分担」を考えながら、より安全で高品質な自動車部品の生産体制を整えていくことが求められるでしょう。
