コラム傷検査・計測のヒントが得られる情報発信にも力を入れています。

自動運転時代に求められる品質保証 – 抜き取り検査で十分か?

自動運転技術はすでに現実のものとなりつつあります。米国では Waymo がロボタクシーを展開し、中国の Baidu は「Apollo Go」で都市部運行を開始。国内でも日産が東京で実証走行を行うなど、実用化は目前です。

責任のシフト:運転者からメーカーへ

こうした中で注目されるのが「事故時の責任」です。従来は運転者の過失責任が中心でしたが、自動運転では事故発生時の責任の所在が「車両を設計・製造したメーカーやソフトウェア提供者」に向かう可能性があります。

事故原因が“設計ミス”、あるいは“部品不良”だった場合、メーカー側の法的・社会的責任や損害補償リスクは格段に大きくなるでしょう。そのため、自動運転時代においては、これまで以上に“部品品質保証”が重要になるのは間違いありません。

抜き取り検査の意義と限界

品質管理手法として、抜き取り(サンプリング)検査は今も多くの現場で採用されています。

そのメリットは主に以下です:

・コスト削減:すべてを検査するよりも時間・コストを抑えられる

・生産速度の維持:検査工程のボトルネックを抑えやすい

・適用性の高さ:部品のバラツキが少ない工程なら、統計的に信頼できる範囲で実用可能

こうした理由から、これまでは抜き取りで「良し」とされるケースも多く存在してきました。しかし、自動運転時代においては「ひとつの不良がシステム全体を致命的にするリスク」が常につきまといます。抜き取り検査は“確率的な保証”に過ぎず、まれな不良を見逃す可能性があります。特に安全に直結する部品、たとえばブレーキ部品、ステアリング機構、センサー筐体、燃料系部品などは、抜き取りではリスクをゼロにできないかもしれません。

「全数検査」は選択肢か?

これらを踏まえると、将来的には全数検査≒全数良品保証を求められる局面が増えてくる可能性があります。全数検査を導入すれば、不良品が流出する確率をさらに低く抑えることができ、製品安全性・信頼性を強くアピールできます。

しかし、全数検査を導入するには課題も存在します:

・設備投資が大きい

・検査速度・処理能力が求められる

・検査装置自体の信頼性・保守も考えなければならない

そのため、抜き取り検査が完全に無意味になるわけではなく、コストとリスクをどうバランスさせるかがカギになります。

品質保証の方向性と中間戦略

自動運転が広がる過渡期には、混合的なアプローチが現実的とも考えられます。

たとえば:

・重要部品:全数検査または高頻度サンプリング

・二次部品:抜き取り検査+統計品質解析

・リスク分析とフィードバック体制:不良発生傾向を早期に検知して対策

こうしたハイブリッド方式を採ることで、全数検査導入コストを抑えつつ、品質保証水準を高めることが可能です。

製品検査技術の展望

こうした潮流を背景に、部品表面検査技術(装置)にも一層の注目が集まります。すべての部品ではなくとも、特に安全関連の部品やハイリスク部品に対して検査技術を適用することで、品質保証体制を強化する一助になり得ます。ただし、装置導入は手段であって目的ではありません。真に目指すべきは、「事故を未然に防ぐ信頼性の高いモビリティ空間の構築」と、「顧客に安心感を提供できる製造企業であること」の両立です。

未来に備える品質姿勢を

自動運転の普及は、単なる“技術トレンド”ではなく、品質や責任の枠組みそのものを変える可能性を秘めています。抜き取り検査だけで乗り切った時代は終わりつつあり、より精緻で堅牢な検査と品質保証体制が求められるでしょう。皆様の事業や製造ラインにおいて、どの段階でどの検査手法を採るかを検討することは、今後の競争力・信頼性を左右する重要な判断になります。もしも「穴検査」に関して、お悩みや導入検討したい案件がございましたら、いつでもお声がけいただければ幸いです。

この記事をシェアする
  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • LINEアイコン

お問い合わせ ANALYZERの導入効果を事前に見極めるためのサンプルテストや
製品・ソフトなどに関してお気軽にお問い合わせください

お電話でのお問い合わせ

082-426-6672

082-426-6672

(月〜金曜 9:00〜17:00)

サンプルテストのご依頼はこちらから

サンプルテストのご依頼(初回無料)